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歯科医師・開業経験談

 神奈川県保険医協会では、これから新規で開業される医師、歯科医師の先生方への応援・支援の一環として、「開業セミナー」を開催しております。本セミナーでは、各分野の第一線で活躍する専門家が開業に必要な様々なノウハウを提供するほか、先輩開業医の本音が聞ける開業経験シンポジウムなど開業前の先生方と同じ目線に立って企画しております。

 ここでは、歯科開業医の先生(匿名)の開業経験談をいくつかご紹介いたします。ぜひご一読いただき、直近に開催する「開業セミナー」にご参加いただきますよう、お願いいたします。

 


 [目 次]

※タイトルクリックで本文にジャンプします

● クリニックの宣伝は的を絞って効果的に 土地勘を活かした宣伝方法(H24年4月開業)

● リスクのない挑戦などない 身を埋める覚悟で開業を(H24年4月開業)

● 子育てのため戸建開業を選択 中古機器等を活用し、身の丈にあった計画を(H22年1月開業)


 

クリニックの宣伝は的を絞って効果的に

土地勘を活かした宣伝方法

 

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開業日: H24年4月

開業年齢: 41歳

標榜科目: 歯科

開業形態: ビルテナント

 

 開業に至る2年前より、自身のクリニックに対するイメージ作りを始めました。一般治療のほとんどが虫歯や歯周病ですが、その要因の一つとして挙げられるのが「噛み合わせ」だと言われています。噛み合わせを良くするには、矯正治療が不可欠です。長く自身の歯を使ってもらうため、口腔内環境を整える入口に矯正治療を位置づけたいという想いを以前より描いており、その想いを実現するべく開業を決意しました。

 

 開業にあたり、私はコンサルタントを利用しました。知り合いの先生に紹介してもらったのですが、コンサルティング料は破格の35万円ほどでした。そのコンサルタント会社は、後から料金が請求されるというものでなく、開業過程においていくつかコンサルが仕切られており、自分が必要とするコンサル過程のみお願いできるという合理的なものでした。また、明瞭会計であったことも安心してお願いできた理由の一つです。コンサルタントの一番のメリットは、不慣れな金融機関とのやり取りに対してノウハウを持っている点で、無知だったので大変助かりました。私の懐具合を考慮した上で、スムーズにお金の遣り繰りがし易い交渉先を選んでくれたり、条件についても私が強気に出られない条件について、代わって交渉してくれ良い条件を導き出してくれたりと、この点については利用して良かったなと思います。私の場合、自己資金が少なかったため繋ぎ融資をしてくれるところが必須でした。そのためファイナンスを利用したのですが、その交渉もコンサルタントの手腕により良い方向に話が進み、公的金融機関とほとんど変わらない利率で借りることができました。

 デメリットは、人が介入する分だけすれ違いが少なからずあったことです。勤務しながら、同時並行で開業準備を進めていたということもあり、その間ほぼ任せっぱなし。自分が思っていたように工事が進んでいなかったり、思わぬトラブルを起こしていたりと、人が介入するので仕方のないことですが、決して上げ膳据え膳ではなかったです。

 

 クリニックの広告や宣伝において、一番効果があったのはポスティングでした。土地勘がある場所で開業したため、ある程度的を絞ってポスティングしました。どういった方が住んでいる地域かということは把握できていたため、自分の治療方針に近い患者さんが多く来てくれそうな地域に重点的にポスティングを行いました。もちろん近隣でも実施はしたが、ある程度クリニックから離れた場所であるにも関わらず、その的を絞った地域から何人かの患者さんが内覧会に来てくれたので、費用対効果は一番大きかったですね。

 

 保険請求事務については、勤務医時代は全く関与しておらず、ただカルテを書くだけでした。学生時代に若干勉強はしたが、いざ実践となると全く分からないものです。開業前に時間があれば、基本は勉強しておくべきだったなと現在痛感しているところです。今も請求事務については苦労しています。

 

 歯科業界には、暗い話題が多いですが、患者さんから求められているものは決して暗いものではありません。歯科は歯を削る仕事が多いが、自分の身を削る仕事でもあります。気楽にやれる仕事ではありません。明確な自分の提供したい診療スタイルを持って開業されることをお勧めします。

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リスクのない挑戦などない

身を埋める覚悟で開業を

 

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開業日: H24年4月

開業年齢: 39歳

標榜科目: 歯科

開業形態: ビルテナント

 

 勤務医時代に技術的にも基礎が固まってきた時点で、自分の納得がいく治療がしたくなった。勤務医では勤務先の治療方針や経営方針に従い妥協しなくてはならない点も多い。最終的には必然的に自分で最後まで責任を持つ、開業しかないと思い決意しました。

 開業に際しては他県で内科医院を開業している両親に相談して準備を進めていきました。両親からは“お金の流れ”について細かくアドバイスがありました。やはり経営者に雇われる側ではなく、経営者になる覚悟のようなものを諭されました。開業地については、今の時代どこで開業しても近隣に競合はあると思った方がいい。開業準備を進めていく中でも近くに歯科医院ができるなどという話は必ず出てきます。そこでいかに勝負できるかがポイントだと思います。診療圏調査の数字は決していいものではありませんでしたが、それこそ「身を埋める覚悟」があるかどうかです。リスクのない挑戦などありません。なんとなく「開業しようかな」では歯科医院が乱立している昨今では成功しないと思っています。

 

 1階での開業という点にはこだわりましたね。医院の前に広い遊歩道があることもあって存在自体の宣伝も考えました。散歩をしている高齢者、犬を連れて歩いている方などが医院の前を通るだけで宣伝になる。実際開業してみるとそれが顕著に表れ、電話よりも立ち寄って予約をしていく患者が多い点を考えれば他の医院にはない特色が出せたのだと思っています。あとは駐車場ですね。駐車しにくい駐車場では特に女性の足は遠のいてしまいます。そこは気を遣いました。

 

 準備を進めていく中では内装業者とあまりに意見が合わなく、その溝を埋めるための時間が多く割かれてしまいました。開業資金の中では内装工事が占めるウエートが高いので私も譲れない部分がありました。全く先方が出してくるイメージと私の価値観が違いすぎた。結局業者はこれまで施工経験のあるパターンにはめ込もうとする、その方が楽ですからね。すでにオープンの時期は決めていましたので、正直妥協してしまった部分もあります。もちろん私にも凝り固まってしまっている先入観がありますので、理想なのは内装業者のデザイナーと意見交換を図りながら準備を進めていくことだと思います。

 

 スタッフ雇用については、長く一緒に仕事をしていく上では「仕事ができる」ことだけがポイントではないと思います。やはり人間同士の価値観が合いコミュニケーションがうまく図れないと、それが患者にも伝わってしまう。私も開業当初、正規職員として雇ったスタッフがいましたが、仕事云々ではなく元々の性格が合わなく互いに話し合った結果、研修期間も設けておりましたのでトラブルを抱えることなく辞めていただきました。妻をスタッフとして雇用していますが、開業当初から阿吽の呼吸で仕事ができるスタッフがいること、ほかのスタッフでは言えないようなことも話し合えるという点では大きなメリットであると思っています。ただほかの職員を雇用する際は身内の中に入ってくるという格好になりますので特段の配慮が必要だと思います。

 

 自分は郊外での開業ですが、駅前開業ではできないスタイルを見出すべきだと思います。私の場合は口コミも考えて、一人の患者に多くの時間を割くことを「ウリ」にしています。患者と話し合いながらじっくり治療を進める、これは郊外型の開業では重要だと思っています。中には話をしに来るだけの高齢者の方もいますからね(笑)。 

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子育てのため戸建開業を選択

中古機器等を活用し、身の丈にあった計画を

  

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開業日: H22年1月

開業年齢: 41歳

標榜科目: 歯科

開業形態: 一戸建て(所有地)

 

 保育園に通わせる子どもの母親でもあり、子育てしながら歯科医院を開業するためにはテナントではなく戸建てが良いと判断し、1年半前から計画を立て、開業場所の土地を探しました。小児歯科専門で開業することを決めていたので、小学校から近く、同じ専門医や先輩、友人の歯科医院とかぶらない場所を条件に、不動産にも足を運び探した。今の場所は偶然、主人がネットで見つけたのですが、小学校にも近くバス通りに面していたため、決めました。

 

  歯科業者の開業支援部門のセミナーに積極的に参加し、診療圏調査も無料で行ったところ、住宅地で半径500メートルに歯科医院は2件でした。1日40数名の高い来院患者予想が出るなど開業場所としても非常に良かったです。店舗併用住宅で、大手の建設会社に設計を依頼しましたが、住宅メーカーの建築士は、歯科医院の建築にはあまり詳しくなかったのです。そこで、建築士に勉強してもらおうと、デンタルショーに同席してもらい、内装レイアウトが掲載されているリーフレットを渡すこともしました。業者にも内装の設計図を無料で作成してもらったものを、建築士に提供し、参考にしてもらいました。店舗併用住宅では、テナント部分を歯科専門の施工業者に依頼すれば、内装費等で費用が掛かりますが、歯科医院部分も住宅の壁等と同じ仕様で対応し、費用を大幅に抑えることができました。建築士と歯科医療機器業者を引き合わせ、水道配管、ユニットスペース、人の動線など密に連携をとり設計させました。狭いスペースながら満足しています。

 

  また、治療機材は費用を抑えるため、積極的に中古を活用しました。業者に、ユニット1台新品を入れることで中古ユニットのメンテナンスも引き受けてもらうことも交渉のうえできました。パントモも中古品で対応しましたが、画像が鮮明ではなく、失敗もありました。確定診断をする場合は、新しいデンタルで対応しています。開業時は何かと支出が多く、運転資金300万円を用意したが、全然足りませんでした。運転資金は6か月分くらい見ておいた方が良いでしょう。機材は中古を利用しながら、経営状況を見て徐々に新品を購入するのがお勧めです。

 広告宣伝では、ポスティング費用に20万円を掛けて1万部を配布し、電柱広告は小学校・幼稚園の前に当初15本で契約しました。電柱広告は、開業1年経過し、効果がないと判断したところは見直しました。ポスティングはとても有効でした。1年前のチラシを持参し来院する母親もいます。職員募集は、アイデムや無料のタウンページ求人広告を活用。歯科衛生士を1名正規職員として新規採用したが、医院への贈答品を、封を開けて見てしまうなどの行為が散見され、自己退職してもらいました。職員の人間性など採用して初めて徐々に見えてきます。今は、パート職員のみです。最寄り駅から遠いので、職員専用の駐車場を確保し、自動車通勤できるようにするなど募集に配慮しています。

 

  これから開業する人には、絶対に無理な計画はしないことを勧めます。例えばクリニックの内装をデザイナーに依頼するよう勧めてくる業者もいますが、クリニック内の動線が良く、清潔であれば十分です。開業は多額のお金が動くため、いろんな業者が群がってきます。業者に煽てられることなく、物事や業者を見極めることです。全部新品でなくても開業はできます。借金が多くなれば、返済など支出が多くなります。そうなると無理な診療を強いられ、経営危機に陥る危険性が出てきます。1年半が経過して、身をもって体験しています。身の丈にあった開業が一番です。

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